東工大(科学大)合格体験記 勉強法と参考書

全ての学院の合格最低点を上回って東工大に合格した現役東工大生の記事

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東工大(東京科学大学/東京工業大学)に合格するための勉強法・参考書ルートの紹介.*1

塾・予備校についても少し触れる.  

 

 

各科目の勉強法

数学

①教科書 教科書ガイド

②青チャート

③1対1対応の演習

④新数学スタンダード演習 やさしい理系数学

⑤新数学演習

 

①:  教科書を丁寧に通読しよう.  公式は暗記しておく(10秒程度で導出できるものは導出を覚えてもいい).  体系数学(市販)にははじめから解答解説が付いているので教科書ガイドの購入は不要.  青チャートと同時並行する.

②:  教科書と並行して進めていく.  例題と下の類題だけをやる.  合計4周くらい繰り返しやって身につける.  明らかに復習不要な問題は2周目以降カットしていいが,  せめて1周目だけはきちんとやるべき.

③:  4周くらい.  明らかに復習不要な問題は2周目以降カットしていいが,  せめて1周目だけはきちんとやるべき.

④:  要復習の問題だけは2周(問題によっては3周)くらいして再確認しておく.  余裕がある人はハイ完良問プラチカ*2も追加でやる.  余裕が無ければスタ演1冊で済ませてもOK.

⑤:  ④と同じようにやればいい.  D問題はスルーしよう.  これより難しい問題集をやってもあまり意味がない.  数学を得点源にしたい人ほど④で挙げた追加教材して "量"  をやる方が効果的. 

 

 基本的にすぐ解答を見ていい.  大事なのは解答を見ながらor見た後によく考えることである.  実際に手を動かして計算を確かめてみる,  具体的な設定で実験する,  図を描く,  情報を整理する,  "要はどういうことなのか"  というポイントの部分を押さえる(汎用性の高い重要な考え方や手法,  定石の部分を抜き出し一般化してまとめてみる)ことである.  東工大の数学は  "初見の問題をゼロから発想する力"  を要求しているのではない.  "教科書や参考書問題集に載っている考え方や手法を初見の問題に運用すること"  を要求している.  暗記と理解の両方が大事で,  "繰り返し理解する"ような勉強が理想である.  すぐに解答を見ていいと言ってしまったが,  教科書例題の次に来る練習問題や青チャート星1~2レベルの類題(下の練習問題)だけは例外である.  まずは解答を見ずに自力で計算してみよう.

 

時間に余裕のある人は月刊大学への数学の学コンに応募して氏名掲載を目指そう.  アウトプットの機会にもなる.  

 

英語

単語

①  ターゲット1900  か  システム英単語

②  鉄壁*3

 

覚えたい300単語のセットを大きな声で2~3回正しく発音して覚える×1~2周(これを毎日就寝前1回+都合のいい時間帯で1回)⇒1週間以上継続して覚えてきたら次の新しい300単語で同じことをやる⇒・・・というプロセスを繰り返す.  目と耳と口をフルに使って短期間に何度も反復し長期記憶に落とすのが脳科学(心理学)的に効果の高い記憶法である.  0.1秒で意味が思い浮かぶようになっていないと覚えたとは言わないので注意.

まずは見出し語だけ全てを覚えきること.  次に関連語に取り組む.

風呂で覚える英単語,  風呂で覚える英熟語は湯船に浸かりながら語彙追加したい人向け.  嫌でも習慣化できる.  ただしこれらはあくまで補助的なものである.
高1でターゲット(シス単),  高2から鉄壁.
熟語

 Vintage(ネクスでも可)のイディオムのセクションを単語帳と同じように覚えればいい.  

 

文法語法とターゲットレベルの単語帳が終わってから取り組めばいい.

 

英文法・語法

Evergreenを読み進めながらVintage(ネクスでも可)を進めていく.  全範囲終わったらさらに追加で2~3周くらいやればいい.

和訳→問題の英文→(理解あやしいところだけ)解説 の順にテンポよく進めていく.

高1の間に文法語法を終わらせる.  語法は春休みを使ってもいい.

 
英文解釈

英文読解の透視図 を使う.  本文全体の通読は1度でいいが,  Challenge編以外の短文50コは何周も音読して身につける(Challenge編は4周黙読).  文構造と和訳を黙読で理解してから音読する(中身を理解せずに音読するのは意味がない).  4周くらいしよう.~~時間に余裕があってより慎重に行きたいというのなら基礎英文解釈の技術100を1冊目にやり2冊目はポレポレにするのがいい.

 

語彙と文法,  語彙と英文解釈は並行しても良いが文法と英文解釈は並行してはいけない.  文法を完成させてから英文解釈に行くべき.

 

英作文(和文英訳)

ドラゴンイングリッシュ基本英文100で重要表現を暗記,  例解和文英訳教本(文法矯正編)例解和文英訳教本(公式運用編)で英作文において重要な文法表現等を暗記.  もちろん(本文を通読し)例文は理解したうえで音読する.  英作文の勉強では質の高い例文を合計300程度暗記するのがポイントであり,  添削は不要である.

 

 文法を完成させてから英作文に行くべき.

 

公式運用編は高3から始めればいい.  

 

長文

 "大量の精読*4"  によって自然と速読ができるようになる*5.  

まずはグループAのものを使う.   文構造を確認しながら,  "和訳→英文"  の順で1文ごとに精読の訓練を積む*6

問題演習はオマケのクイズだと思って一応取り組んでみる.  解答と照らし合わせて確認する程度でも良い.  解説を熟読して解き方のテクニックの勉強をするのは全く意味がない.

ある程度量をやったらグループBに行って良い.  この段階では内容読解の練習としてまず一気に英文を読み,  問題も自力で解いてみる.  その後に1文1文ごとの精読を行う.

標準ルートを

ハイパートレーニングシリーズ→ポラリスシリーズ→やっておきたいシリーズ

として合計100題程度確保し,  各自の余裕に応じてレベル別問題集,  全レベル問題集,  速単を追加するのが良い.

 

グループA

【文構造解説などが丁寧で効率よく精読できるもの】

英語長文ハイパートレーニン 標準編/難関編

・入門英語長文問題精講

英語長文ポラリス 1/2/3

英語長文レベル別問題集 4/5/6

全レベル問題集 2/3/4

・大学入試 レベル別英語長文問題ソリューション 1/2/3

 

グループB

【良質長文・有名王道】

やっておきたい英語長文 500/700/1000

 

【音声聞きながら何度も読むのに向いているもの・単語帳寄り・話題豊富】

速読英単語 必修編/上級編

・速読英熟語

リンガメタリカ

 

【準王道・その他】

基礎英語長文問題精講

・イチから鍛える英語長文 500/700

全レベル問題集 5/6

・Top Grade 難関大突破 英語長文問題精選

英語長文問題精講

・旧帝・早慶・英検2級準1級の過去問

 

いろんな話題に触れることも大事なので何周もする必要は無い.

語彙・文法・英文解釈全てが完全に終わってから長文に手を出すべき.  「長文の勉強に力を入れれば長文で点が取れるようになる」は必ずしも正しくない.  「長文やっても伸びません」という人はだいたい基礎が弱い.

物理 

教科書  or  理解しやすい物理基礎+物理
    

セミナー  or  リードα

 

教科書読みながら1周(読んだそのときにすぐにやるという意味)

教科書の練習問題くらいのレベルまでやればOK

 

ハイレベル物理(苑田尚之/東進)

 

東進衛星予備校はもちろん,  自宅でも受講できるらしい.  

これの演習問題を何周もした後に難問題の系統とその解き方の例題100題を何周もやって物理の勉強を終わらせる人が多い.  

 

(以下は苑田のハイレベル物理をどうしても受講できない人向け)

物理のエッセンス 4周

名問の森 4周

難問題の系統とその解き方 例題だけを時間の許す限り周回.  

 

基礎基本を掘り下げる必要性を感じたときには,  新物理入門理論物理への道標を読むと良い.

 

化学

大学受験Doシリーズ鎌田の理論化学
大学受験Doシリーズ福間の無機化学
大学受験Doシリーズ鎌田の有機化学

 

暗記事項として強調されている事柄,  付録の暗記冊子については単語帳のように毎日触れて,  きちんと覚えてから問題集に行く.

 

理論と有機だけはスタディサプリ坂田薫(映像)のトップ&ハイレベル化学も王道となっている.  鎌田の理論・有機のかわりにしてもいい.

 

セミナー化学  4周.  1周目は講義本と並行しながらやっていく.

 

重要問題集  4周

 

化学の新演習  時間の許す限りで何周も

 

その他: 化学の新研究は辞書用に役立つので買って手元に置いておく.

 

英語リスニング (対策時期:直前の2週間)

リスニングの勉強の基本は問題を解くことではなくシャドーイングである.  

社会科 (対策時期:直前の3週間)

倫政:  負担は地理よりやや軽く,  高得点が取りやすい.  

現代社:  勉強の負担は最も軽く,  8割には乗りやすい.  東工大志望向き.

地理:  高得点が取りにくいうえ負担も重い.  あまりおすすめはできない.

日本史:  負担は重すぎる.  とりあえずやめておけ.

世界史:  負担は重すぎる.  とりあえずやめておけ.

王道の講義本を2周くらい読んでから過去問(追試,  試行調査,  センター試験含む)を参考書のように読み,  何年分もやるのが基本方針.~~東進過去問データベースが役に立つ.

倫政  

王道は黄色本.  概念の理解で詰まった場合はここみらいチャンネル(YouTube),  教科書蔭山の共通テストシリーズを辞書的に使うと良いらしい.

 

地理

地図帳白地図に重要情報を書き込みながら黄色本を2周くらい通読後,  過去問(追試,  試行調査,  センター試験含む)を参考書だと思って何年分もやる.  白地図や地図帳は定期的に見る.  以下のサイトは過去問演習で役立つ.  過去問は分野別に収録された瀬川の超重要問題の解き方を使ってもいい.

https://ts9ts9ts.cloud-line.com/page21489/

 

現代社

王道は現代社会集中講義.

漢文 (対策時期:直前の2週間)

  • おすすめ

  漢文早覚え速答法→過去問(追試,  試行調査,  センター試験含む)を何年分も精読

  • 完全にゼロからなら

   漢文ヤマのヤマ→過去問(追試,  試行調査,  センター試験含む)を何年分も精読

 

早覚え即答法著者の過去問掲載サイト kanbunhoi.web.fc2.com

 

本屋に行って現物を見てどちらを選ぶか判断した方が良い.  

講義本は通読のうえで重要事項は暗記する

過去問入手は東進過去問データベースを活用

国語の最優先分野.  対策コスパは良い.

古文   (コスパは意外と良くないので捨ててもOK)

古文単語

読んで見て覚える重要古文単語315

1日1周を2週間くらい継続する.  

 

古典文法(講義本)

・吉野式古典文法スーパー暗記帖 

簡潔に書かれていてかなり薄い.  理解はしているけど覚えてない人向け.

 

・望月光の古文教室 古典文法編  

ゼロから丁寧に最低限の基礎基本だけを網羅して解説.  まとめのページは覚える.

 

本屋に行って現物を見てどちらを選ぶか判断した方が良い.

 

古典文法(問題集)

ステップアップノート30古典文法基礎ドリル

これは何周か繰り返しやる.  1周目は講義本と並行しながら進めていく.

       

古文読解

過去問(追試,  試行調査,  センター試験含む)を参考書だと思って何年分もやる. 基礎を入れたらあとは量が重要になる.  解答解説を使った精読を中心にやればいい. マドンナ古文常識 で調べながらやる.  過去問入手は東進過去問データベースを活用.

物理基礎(高1定期試験向け)

教科書をよく読みながらリードα物理基礎(セミナー物理基礎)を解けるようにすればOK.  高2以降,  物理基礎と物理が同時収録されている教科書・教科書傍用問題集を使って進めていく学校なら物理基礎の勉強は不要.  

 

化学基礎(高1定期試験向け)

教科書(スタディサプリ高1高2高3化学基礎でも鎌田の化学基礎でもいい)をよく読んで覚えるべきとこ覚えてリードα化学基礎(セミナー化学基礎)を何周かして解けるようにすればOK.  

 

 

全体的なQ&A

Q.  共通テスト対策なら予想問題が一番良いのでは?

A.  共通テスト対策は過去問演習が基本である.  予備校の予想問題は質が低い.  予備校講師の作問能力の問題もあるかもしれないが大学入試センターが問題作成にかける期間*7投入資金,  作問関係者の数や質を考えれば当然のことである.  共テに限っては過去問とほぼ同じ問題が出ることも多いのでやはり過去問が最も良い対策になる.  センターとは傾向が大きく異なる科目(英数)については共テの過去問をやった後に数学は駿台,  英語はZ会の予想問題に取り組むのがベター.  河合塾のものは高2,  高3前期に範囲縮小,  難易度配慮で実施した模試の過去問が多く含まれている.  Z会理系科目のものは変な難しさがある(質が低い).  

 

Q.  センターの過去問はどこで入手できる?

A.  黒本や東進の過去問データベース(登録無料)から入手可能.  BOOKOFFなどの古本屋, メルカリ,  進路指導室を探してみるのもアリ.  学校の教員や塾予備校の教務に相談してみるのも良い.

 

Q.  共通テスト対策の力の入れ方がわからない

A.  東工大足切り回避だけなら7割の得点率で安心と思っておいて良い. 推薦入試,  私大の共テ利用入試,  後期試験で共通テストの配点が高いところに出願する人もそこそこいるので力の入れ方はその人次第としか言いようがない.  

Q.  共通テスト対策の手順は

A.    2次試験で使う科目はいきなり過去問を使って本番と同じ形式でタイムアタックでいい.  リスニング,  国語,  社会科は過去問の大半を参考書の例題と同じように勉強用に使う(何周もする必要は無い),  タイムアタックは直前対策パック3社分と過去問1~2年分だけやればいい.

 

Q.  私大の併願はどこ

A.  早慶理工で良い判定が出ている人は早慶だけ受けておく(ただし傾向形式が独特なので過去問はなるべく多く解いた方がいい).  それ以外の人は理科大をおさえておく.  直前期はいろいろと忙しくなるので,  過去問演習の時間を十分確保する為にも私大の併願先は数を絞っておいた方がいい.

 

Q.  結局,  塾に通うべきなのか

A.  オイシイところだけ取り入れればいいと思う.  全科目通ってもいいのは鉄緑会くらいではないだろうか.  たとえ大手の塾予備校であっても,  ただなんとなく全科目受講するというのはオススメできない.  独学がどうしても無理というなら仕方ないが.  

 

Q.  各科目の進度の目安は?

A.  どんなに遅くとも模試の出題範囲には追いつくようなペースでやる.  到達レベルとしては  "模試の範囲だけなら入試標準問題(1対1,  名問,  重問)が解ける"  くらい.

 

Q.  東工大過去問対策はいつ始めるのか

A.  高3秋の冠模試(東工大入試オープン)直前くらいから始めればいい.  

 

Q.  共通テスト対策はいつ始めるのか

A.  12月中旬くらいからゼロから始めても問題ない.

 

Q.  すぐ眠くなる

A.  コーヒーやモンスターエネジーを飲む,  15分くらい机に突っ伏して寝る.

 

Q.  集中力がすぐ切れる

A.  場所を変えて勉強するといい.  カフェ(コーヒーショップ),  マック, サイゼリヤミスド,  公立図書館,  学校の図書室,  スーパーなどの飲食休憩スペース,  自宅, 学校塾予備校の教室や自習室などいろいろある.  目で読むだけの教材なら公園,  駅のベンチ,  病院,  電車の中や公共施設の待合室なども使える.

 

Q.  東工大合格者の勉強時間はどれくらい?

A.  平日6時間,  休日10時間が普通と言われている.  studyplusで記録をつけよう.

 

Q.  学校の授業で内職するべきか

A.  自分にプラスにならない授業なら躊躇わず内職するべき.

 

Q.  東工大近くにホテルはあるのか? 受験前日に宿泊したい.

A.  大井町駅アワーズイン阪急をおすすめします.  大岡山駅まで乗り換え無し15分程度で到着します.  館内のお風呂の大様に500円で入浴でき,  ホテル内の会議室には受験生向けの自習室が用意されていました.    

 

Q.  合格をより確実にするためには?

A.  英語理科を高いレベルで安定させ,  数学で突き抜ける.

 

Q.  各科目の大まかなポイントは

A. 

数学:  基礎基本概念の意味の深い理解と基礎計算力は前提.  良質な網羅系典型問題集(青チャート+1対1)を1問1問深く理解し手と頭に馴染ませ頭にたたき込む.  あとはB強~C問題レベルの演習を大量にやる.

 

英語:  語彙/文法/英文解釈/英作例文暗記を基礎として長文精読を大量にやる.

 

物理:  基礎をじっくり深く理解したうえで(エッセンス~名問難系レベルの)良質典型問題の解法を瞬間的に引き出せるように繰り返し訓練する.

 

化学:  「基本概念の整理 」「 暗記」メリハリつけながら基礎を入れる.  「暗記だけ」「理解するだけ」では駄目.  あとはセミナ+重問~新演習レベルの典型問題を繰り返しやって頭に叩き込む.  

 

 

Q.  1問あたり何分考えるべきか

A.  1分でOK.  解答解説を読みながらor読んだ後に手と頭をを動かすことが大事.  

 

Q.  2冊のうちどちらか選べということで実際に本屋に行って現物を確認しましたがまだ悩みます.

A.  studyplus や Amazon のレビューも参考になります.

 

Q.  高1のうちは何に力を入れるべきか

A.  重要英単語・重要英熟語・英文法語法・数学ⅠA・数学ⅡB

 

Q.  参考書問題集は自分の直感に合った好きなものを選ぶべきではないですか?

A.  自分の話になりますが,  大学受験範囲の勉強を始める前にまず全国トップレベルの学力をもつ受験生, 合格者らが使っていた参考書問題集,  通っていた塾予備校,  勉強法の情報収集から始めました.  多少の選択の違いはあるものの,  共通点が多くみられました.  使っていた教材はほぼ同じようなものでした.  大型書店に行けば何百もの種類の参考書問題集がズラリと並んでおり何通りもの選択肢が有り得るにも関わらずです.  通っていた塾,  塾で受講していた講座の選択の仕方についても似たようなものでした.  彼らの方法をとりあえずマネればきっとうまくいくのではないかと思い,  とりあえず実行に移したところ本当に成功してしまいました.  しかし(本当に単にマネただけなので)何が成功の本質であったのかは当時はよくわかっていませんでした. 入学後,  個別指導のバイト*8で難関大や医学部を目指す(けれども学力イマイチな)生徒を何人か受け持つことになりました.  彼らは意外とよく勉強していましたが,  自分で好みの参考書を選び,  独特の勉強法(あるいは漠然とした方法)で毎日熱心に取り組んでいたという点で自分と異なっていました.  まずそれらの参考書を分析してみました.  中身を軽く読んでみるとわかりやすそうで,  使いやすそうで,  序文や表紙に書かれたコンセプトは一丁前前なもので,  完璧に見える教材でしたが,  もっとよく読んでみると余計な解説ばかりがバカていねいに書かれている一方で肝心な解説については省かれている,  重要な問題が抜けていて余計な問題が多い,  構成や問題の質・量・問題の選び方が悪いなど,  王道のものと比べて明らかに劣っていました.  しかしそれを本人に指摘しても納得してもらえませんでした.  教材の質は素人が見た目で判断できるようなものではない(過去問が満足に解けるようになってはじめてわかる)ので当然かもしれません.  出版社・執筆者はそういった情弱を狙ってうまく釣り上げようと ありとあらゆる工夫を施してきます.  そもそも出版社・執筆者は商売が第一であって,  ユーザーの学力を伸ばす(志望校に合格させる)ことを目標にしているわけでは必ずしもないというのを認識しておくべきです.  それでも自分の直感に合ったものを買いますか? それとも大学受験を俯瞰できる先人(成功者,  実力者)の跡を辿りますか?  参考書だけでなく塾や予備校,  受講する講座にも同様のことが言えるはずです.  

 

Q.  勉強の方法も自分の直感に合ったものでは駄目ですか?

A.  科目ごとに方法は異なりますが,  例えば単語暗記なら人間の脳の性質上成果の出やすい方法が決まっています.  長文型の単語帳を長期間かけてじっくり1周するのと,  通常の単語帳を短期間に毎日何周もするのとでは後者の方が効果的です.  "自分に合っている" が  "より勉強した気になれる" ,  "よりラクに勉強できる"  になっていませんか?  長文型の単語帳に限っては,  一度に単語と長文を完璧にしようとしてメリハリがつかず最終的に(充実感以外の)何も得られていない人がいたりします.  とりあえず大きな成果を出した先人に共通する方法を実行しておけば大きな失敗は回避できると思いますが,  それでも自分の直感ばかりを信じますか?

 

Q.  自分に合わない勉強をやっても成績は伸びないのでは

A. 自分に合ったレベルから始めるという意味であればそれは正しいです.  レベルの話は別として,  一般に自分に合った勉強法と高偏差値とるための勉強は必ずしも同じではなく(例外的に両者が偶然一致している人もいる),  いくら自分に合っていても結果として成績が微妙ならその方針はダメです.   自分に合っていると感じていても実際は自分の好き勝手な都合の良い思い込みでしかなかったりするのであてにするものではないです.

 

Q.  実力者の参考書ルートを真似るメリットは何ですか.

A.  敷かれたレールの上を正しく走るだけで合格に必要な量と質が自動的に確保されることです.  ゼロから自分で参考書を選んでいる人によくあることとして,  同レベルではない教材を同レベルだと勘違いしていたり,  演習量,  演習経験で不利になるような選び方をしていたりします.  その他いろいろありますが,  合格の本質を理解していない段階で自分の勘だけに頼るのは愚かではないでしょうか.  

 

Q.  実力者は頭のつくりが違うので,  その勉強法を凡人が真似るというのは無理がありませんか?

A.  合格水準を上回るために解けなければならない問題というのは才能が問題になるようなレベルではありません.  必要な対策は凡人が取り組めるレベルの範囲内にあります.  実際,  凡人でも簡単にマネできるような教材と方法しか紹介していません.  それでも実力者の勉強が参考にならないというのなら,  受験する大学が間違っているのではないでしょうか.

 

Q.  数学でとてつもなくデキる友人はどの教材も1周しかしていないのですが

A.  そのタイプは知り合いにもいましたが,  皆問題集100冊に相当するくらいの演習量をこなしていました.  英語ネイティブを想像すればわかる通り,  方法がそんなにきちんとしていなくても圧倒的な量をこなせばデキるようになります.  当たり前ですが.

 

Q.  「論理学で学ぶ数学」のような,  本質を売りにした数学の参考書はやった方がいいですか?   

A.  紹介した教材を一通りきちんと取り組めば受験で困ることはありません.  困ると感じているのなら,  それらの教材から吸収しきれていないと認識すべきです.  使うと決めた教材から満足に吸収できないような頭で論理学で学ぶナントカみたいなものに手を出しても無意味です.  それ1冊やるかわりに問題集(例えばやさ理)1冊やって演習量を増やした方が余程学力アップに繋がるのではないでしょうか.  「いやそうではない.  既に星の数ほど演習したので問題集1冊なんて塵のようなもの. 」と思う人だけ,  論理学で学ぶ~に手を出しましょう.  もちろん他の科目にも余裕がある前提です.    

 

Q.  本質がわかっていればどんな問題にも対応できるので,  本質を売りにしたタイトルの本は買うべきではないでしょうか.

A.  本質を売りにした本で本質を学んでどんな問題でも解けるというのは幻想です.  出版社や執筆者は基本的に商売目的でやってます.  言葉を巧みに操って受験生を惑わしてきます.

 

Q.  『共通テスト10時間で9割とれる~』みたいなタイトルの本だけでいけるか.

A.  出版社や執筆者は基本的に商売目的でやってます.  言葉を巧みに操って受験生を惑わしてきます.  表紙を取り除けば「そこらへんによくある参考書」です.  10時間だけで9割に達した例が多数あるのならもちろん買ってやればいいですが,  現実はそうではないことが多いようです.  古文の場合,  単語文法固めた後に取り組む人もマレにいるようですが,  基礎入れた後なら10時間かけて過去問20年分やる方が余程効果があるはずです.  語学全般,  基礎を固めたらあとは量がモノを言います.  

 

Q.  英文は前から後の順に,  英語を英語のまま理解して読むことが大事なので英文解釈の勉強は邪道だと思います.

A.  むしろ英文を前から後の順に,  英語を英語のままスムーズに読めるようになるための訓練の1つが英文解釈です.  そのような訓練によって難しい英文がスムーズに読めるようになります.  英文解釈の勉強をしていない人がありとあらゆる英文を前から後の順に,  英語を英語のまま理解して読むことはほぼ不可能です.  読めない英文は読み飛ばせと言う人がいるかもしれませんが読解の深さに悪い意味で影響するうえ,  もしその方法で本当に凌げるのなら誰も苦労しません.  

 

Q.  英語長文において未知語の推測, 語源からの単語推測, 読み飛ばす訓練,  速読の練習をするべきではないか.

A.  それは成果に繋がらない勉強法です.  予備校や塾や出版社は基本的に金儲け目的でやってます.  そのような勉強が必要であることを受験生に錯覚させるのが上手なようで,  これまで多くの教師や受験生を騙してきました.  

 

Q.  Vintageやネクステ(英語の文法問題集)はやらなくてもいいのでは

A.  それらの問題集には例えば文法セクション500問くらい載っているわけですが,  1問に1分かけて読んだとしても500分(8時間20分)で終わります.  たった1日勉強すれば英文法全範囲の総復習ができます.  コスパは良いでしょう.  

 

Q.  数学で,  初見の問題の解き方を閃く為の訓練が別枠で必要なのではないか.  

A.  それも成果につながらない勉強法です.  演習経験から得てきたものを運用するだけで初見の問題は解けるようになってます.  問題が解けないのは「閃き方」を別枠で訓練していないからではなくて,  知識の量と理解の深さがともに高いレベルで磨かれていないからです.  演習量が足りていない人,  解答解説から吸収すべきものを吸収しきれていない人ほどそのような勉強をやりたがります.  

 

*1:以下の内容は自分自身の経験(個別指導のバイト経験も含む)が基になっているが,  事実を言ってしまうと  "実力のある先人がやってきたことをほぼそのまま実行した"  にすぎない.  自分の直感だけを信じ自己流に走るよりも成功者のマネをする方が確実である.  

*2:ⅠAⅡBは文系版を使おう

*3:東工大英語の語彙レベルは高めなことが多いのでここまでやる

*4:挙げた全ての長文集を無理にやる必要は無い

*5:中学英語がスラスラ読めるのは精読・和訳ができるからであって,  特別に速読の訓練を積んだからではないだろう.  高校英語を体感中学レベルに落とし込めばスラスラ読めるようになる.

*6:英文を左から右にストレートに読むことで,  英語を英語のまま自然と受け入れる訓練になっている.  予め和文を理解しておくのはそのための補助.

*7:2年くらいと言われている

*8:大学の勉強が忙しかったこともあり,  大して長い期間やっていない